スタートアップって、VCって、一体なんですか?(2)
こんにちは。韓国から参りました。せほんです。
前回に続きまして、スタートアップやVCに関する用語をまとめてみました。個人的に投資と関連する用語などを覚えるのが大変だったので、今日は主に投資やお金に関する言葉です。
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初期資本金
資本金は法人設立のための最も重要な部分であり、オーナーシップを証明するために必要なお金です。プロトタイプを作って投資を受ける前、(約6-10ヵ月)まで生き延びるためのお金でもありますね。すなわち資本金は、創業に対する準備費用であるわけで、このお金でメンバーを雇用したり必要な設備を用意したりしなければならないでしょう。
資本金に対する持分も考えなければならないですが、共同創業者5人が集まって各200万円ずつ1000万円を資本金とする場合、一人20%ずつ会社に対する権利を持つようになります。当たり前な話ですが、初期資本金を多く入れるほど多い持分を持つことになり、持分保有量によって会社経営に対する意思決定権の比重が高くなります。
一方、創業者に資本がなく、初期投資者に投資を多く受ける代わりに持分を多く与えてしまう場合もあります。持分を多く与えることになれば、意思決定権が弱くなり、ビジネスが上手く行った時にも大きいリターンを得ることも難しくなることがあるようです。こうなってしまったら、もう「オーナー」ではなく、給料をもらう「CEO」になりかねないでしょう。
シードマネー(Seed-Money)と普通株
起業する前、あるいは起業した直後、製品やサービス開発のための人件費や開発費投資などのために調達したお金を意味する言葉です。エンジェル投資者(または投資会社)に普通株の形で受けることも多いです。
シードマネーを投資するエンジェル投資家は、ビジネスの潜在性や収益性を最初から考慮しなくてはいけないでしょう。創業者の企業家精神や姿勢を高く評価して彼らのアイデアをある程度のレベルまで発展させるためのハンズオンを行うこともあります。金額は、初期開発費程度が一般的です。
一方、普通株は利益配当や残余財産の配分について、特別な権利のもたない普通の株式をいいます。普通株でも影響力(株主総会の議決権、理事または監査の選任・解任請求権、株主総会の収集権など)の行使はできますが、配当を優先的に受け取ることはできません。
シリーズA(Aラウンド投資)と優先株
プロトタイプ開発から本格的な市場参入の直前までの期間中(普通18ヵ月前後)に受ける投資をいい、数千万内の規模の投資(持分で15-30%前後)が行われる。ある程度市場での検証を終えて、ベータオープンから正式オープン段階の前に受けるもの。シリーズA投資金の主な使用先は、本格的な製品やサービスリリース、顧客フィードバックのモーティリンクやマーケティング費用です。
シリーズA投資の基準は、「サービス」と「製品の市場性と売上の発生有無」となります。投資を受けることになれば、投資を受けたという事実は会社の認知度や信頼度を上げてくれるようになります。また、投資会社(または投資者)のネットワークの積極的な活用まで期待することも多いです。
一般的にシリーズAの投資主体は、優先株の形を好みます。優先株の長所としては、
①残余財産分配優先権があるため、企業が破産又は清算した時の残余財産について、普通株主に先立って分配を受けることができる。
②優先株投資者が持分率の範囲を超える経営管理権を行使することができる。
などが挙げられます。
シリーズB(Bラウンド投資)
顧客数がある程度以上の規模となり、大々的な人材確保や積極的なマーケティング、新規ビジネス開発などの、ビジネス拡大が必要となった場合のための投資です。すなわち、ある程度市場で認められたり、固定的な収益が発生してサービスが安定している段階で行われます。シリーズBの投資段階で期待されるのは、市場占有率(Market Share、MS)を拡大することです。
バリュエーション(Valuation)
該当企業がもつ価値をいいます。今後どれほどの企業価値になるかを予測し、現時点での現金価値に換算した値です。バリュエーションに使われる指標としては、企業の売上と利益、現金の流れや増資、配当、大株主の性向など様々ですが、その中でも「該当企業の一株当たり株式の価格x総発行株式?」(もう一度定義を確認したほうがいい気が!)という方式を主に使っています。それとともに、似たようなアイテムで創業したり、BMが似ている会社を参考にすることもできます。
事実上、可能性で評価されるのが「スタートアップ」というものですので、算出されたバリュエーション評価が正確と確言できません。しかし、どんぶり勘定式で投資を進めるわけにはいけないので、なるべく客観的に評価することが必要とされます。高いバリュエーションを得るためにはすでに作られたサービスや製品をもって話すことがもっともいいと思いますが、それができない場合でもベータオープンの形でもプロダクトのイメージを示したほうがいいです。客観的な評価に少しは役に立つでしょう。
もし、思ったよりバリュエーションが低く、目標とした調達額に対して渡さないといけないシェアが多くなった場合は、必要最小限の資金を確保してバリュエーションをさらに高めた後に新たに投資を受けるのもアリでしょう。
プレマネー(Pre-Money)価値とポストマネー(Post-Money)価値
プレマネー価値は投資を受ける前の会社価値で、ポストマネー価値はプレマネー価値に実際に投資を受けた金額を足した価値です。投資者はプレマネー価値を基準で投資金額を決めます。例えば、プレマネー価値が2億であり、新規投資金額が5000万なら、企業のポストマネーは2億5000万となります。この時、投資した金額(5000万)をポストマネー(2億5000万)で割ると、新規投資会社の保有持分が計算できます。つまり、5000万/2億5000万(20%)となるため、投資会社は当該企業の株の20%を保有することになるのです。
投資回収(EXIT)
投資家は、いつかは投資金を回収したいと考えています。なので、投資の提案段階でもEXITモデルを提示する必要があります。EXITの方法は大きく2つで、買収合併(M&A)、または企業公開(IPO)があります。
買収合併(Merger and Acquisition、M&A)
買収は、企業が他の企業の株式や資産を取得し、経営権を獲得することで、合併は二つ以上の企業が法的または事実的に一つの企業になることをいいます。一般的にM&Aは、
①既存の内的成長の限界の克服
②新規事業への参加にかかる時間とコストの削減
③経営上のノウハウの習得
④熟練された専門人材や企業の対外的信用確保
⑤ライバル社の買収を通じた市場占有率拡大
⑥資産価値が高い企業を買収した後、売却を通じた差益の獲得
など、さまざまな理由から行われます。方法としては吸収合併、新設合併、逆合併などがありますが、吸収合併は「買収企業が対象企業を吸収」したもので、新設合併は「両企業が合併し新たな会社を設立」したことです。逆合併は実質的な買収企業が消滅し、買収される側の企業が存続することをいいます。
IPO(Initial Public Offering、企業公開)
狭い意味では該当企業の資本公開、広い意味では企業経営の全般的な情報を一般人に公示することを言います。IPOと上場が違う意味ではありますが、一般的に株式相場に登録するという意味としてよく使われています。企業公開の方法はすでに発行した旧株を売る場合と、新株を募集する二つの方法があります。前者は、資本金は増えませんが、後者は資本金が増加します。成功するIPOのためには、適切なレベルで企業を公開することが非常に重要であり、投資者たちの関心を引くことも必要でしょう。なので市場の状況によるIPOの時期、パートナーの選択など、愼重に考慮しなければなりません。
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以上です。みなさん、もっともっと成長していきましょう!
いつも応援しています!
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韓国の高麗大学(Korea University)で国際学を専攻し、慶應大学法学部で交換留学、そして国費留学生として渡日し東京大学大学院で勉強していました。
今はVCの仕事をやっています。起業をお考えの方、投資調達をお考えの方、日韓関係に興味がある方など、気軽に
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