農業×IT!Agritechの注目スタートアップ!
農業データのニーズ
「農業」ほどデータが必要とされるビジネスもないと思います。降雨量や気温、日光や伝染病、土地の乾燥さ、窒素量、栄養分など、農作物関連データのみならず、農業機械や人材管理、農作物の成長、品質管理、収穫後の在庫管理など、様々なデータの分析と管理が必要です。農作物を直販するためには、市場データまで必要になってくるかもしれません。
日本と同じく、韓国も農業人口が急速に減りつつ、高齢化が進んでいるため、これまでは農業関連のスタートアップの数自体も少なく、また、若者に注目すらされてこなかったのが事実です。ほとんどの人は今まで農業分野の「データ活用」についてあまり関心がなかったことでしょう。
しかし、農業分野も企画・管理技術さえ十分に工夫すれば、今よりはるかに収益をあげていくことができる分野だと思います。
では、農業データ関連のスタートアップを立ち上げていくためには、どんなアイデアが必要なのでしょう?今日は、世界の農業スタートアップを紹介していきたいと思います。
Agritechの主要スタートアップ
農家のためのソーシャルネットワークプラットフォーム、ファーマーズビジネスネットワーク(Farmers Business Network)
(https://www.farmersbusinessnetwork.com/)
アメリカの農業市場では、すでにモニタリングのための多様なツールが開発され、活用されています。「ファーマーズビジネスネットワーク(Farmers Business Network)」は、様々なツールの機能を一つに統合し、農業に関するデータを蓄積していくことを可能にします。今は、米国内の計数百万エーカーの農耕地のデータや数千人の農家から得た情報を保存して共有するシステムを構築、運用しています。
クラウドサービスプラットフォームを基盤に構築したビックデータは、種子の情報や肥料価格、耕作地の規模、収穫量など、膨大な情報を保存・処理しています。 そして、農家の人に農作物の管理に必要なノウハウを提供するとともに、資材や金融商品などの共同購買を仲介し収益を上げています。
データを活用し、プランニングや管理を手伝ってくれるファームログス(Farmlogs)
一年の初めに農業プランを計画するにあたって必要なことは、市場の展望とともに、きたる一年の農作環境の予測であると言えます。天気はどうだろうか、天候の変化が既存の収穫量にどれだけ影響を及ぼすのか、農地の残存窒素量や栄養状態がどうなっているのか、、、農作環境の予測には多くの変数が存在します。
「ファームログス(FarmLogs)」は、既存のデータに対する分析を通じて、自分が一年間注力すべき項目をあぶり出し、また一年の農作の成果予測を行うことで、農家を支援します。天気や農地の栄養状態、作物の状態などをウェブ、モバイル基盤で把握できることはもちろんのこと、作物の一年間の相場予測まですることで、農家が収益予測を立てることが可能になります。結果、農家が安定収益を得るにあたっての危険要素を把握することができるようになるのです。
灌漑施設の「最適な活用」を助ける、クロップエックス(cropx)
農作物は環境に敏感に反応します。日差しと温度はもちろん、土壌の様々な成分にも影響されています。農家の大きな悩みの一つは、灌漑(かんがい、土壌の水を管理すること)です。これまでは、灌漑施設を持っていても、土壌に水をどれくらい供給し、どう水分を管理するかを決めるのは、「個人の経験」が判断のベースになっていました。
「クロップエックス(cropx)」は、灌漑設備の管理分野で新たな価値を創み出し、個人依存だった水分管理を、データに基づいて管理できるようにしたスタートアップです。土壌の水分状態を確認する2~3個のセンサーを設置し、アプリを通じて持続的に土壌の状態を確認することができます。
収穫と労働管理を助けるピクトレース(Picktrace)
農業は「プロジェクト」と似たようなものです。多様な資産が投入され、一定の期間が経つと結果物が算出されます。ですが、一般的なプロジェクトとは違い、投入された資産や結果の追跡が容易ではありません。広い農地で作業する人たちの日々の成果を評価することは非常に難しいですし、そもそも収穫の過程の記録やデータは存在せず、最終的な結果だけでしか評価を下せません。
「ピクトレース(Picktrace)」は農業のプロセスで、収穫や労働力に関するデータの蓄積を可能にします。作業に投入されたトラクターなどの資産や人、活動量を評価するのです。誰が農産物を収穫し、現在どこで作業をしていて、どれぐらいの収穫がされているか、どのように費用が使われたのかが一目でわかるようにしています。
ビニールハウス農業管理ソフトウェア、エグリルリスト(agrilyst)
農業でデータの活用度が最も高い分野はインドア、つまり「ビニールハウス農業」です。施設の中の適切な場所にセンサーを設置し、データを収集することで、気温の変化が農作物にどのような影響を及ぼすかを予測し、データに基づいた管理を提唱してくれるサービスがあったらどんなに便利でしょうか。
「エグリルリスト(agrilyst)」は上記のような形で、ビニールハウス栽培をデータ管理するサービスを提供しています。農作物に悪影響を及ぼす可能性のある、病気や天気といった外部データの提供はもちろん、施設内の各種センサーと連携したマネジメント・ツールを提供してくれます。また、様々な在庫を管理や、栄養分供給のデータも管理できます。
**********
韓国の高麗大学(Korea University)で国際学を専攻し、慶應大学法学部で交換留学、そして国費留学生として渡日し東京大学大学院で勉強していました。
今はVCの仕事をやっています。起業をお考えの方、投資調達をお考えの方、日韓関係に興味がある方など、気軽に
Twitter:@sehong_jang
Instagram:kongsae12
までご連絡ください。フォローお待ちしております!
**********